先日、うちとは比較にならないほどの高性能住宅を建てており、DODOMAKASE LIFEというブログを書いているさぬきペンギンさん(Twitterアカウント)とこんな話をしていました。
別にできる範囲で性能と面白さを両立したらええやん!って思うんですけどね。
— クロセ@アイ工務店 (@klose3594) November 5, 2020
どちらに偏重するかはその人次第っすけど。
性能のみでは語れないという人の何パーセントが温熱設計を正しく理解しているのか。
性能重視の家づくりはつまらない。
性能を重視しすぎると意匠性に欠ける。
施主だけではなく、実務者の方でもこう語る方をよく見かけます。
家において何を重視するかは人それぞれ。
クロセは性能を重視しましたが、意匠を大事にすることも1つの考え方と思います。
もしそれが寒さや暑さを我慢しなければならないほどの環境であれば問題ですが、少なくとも木造の家であれば、現在はそこまでひどい家は建たないかなと。
ローコストメーカでもZEHレベルの家が標準になってきていますしね。
ただ、時々疑問なのは、意匠性と温熱環境が両立できないよう語られることです。
決められたコストの中でどちらを重視するのかというのはありますが、その範囲内であれば可能な限りどちらも追及すればいいと思うんですが。
ひどい例になると、性能を求めることが悪のように語る人もいます。
温熱環境と意匠性は両立しないのか?
今回はそんなことないよって話を書いてみようと思います。
温熱設計のトップランナーは意匠性の戦い
少し意外な話かもしれませんが、温熱設計のトップランナーたちは1週回って意匠性の争いになっています。
その傾向がわかりやすいのが「エコハウスアワード」と「エコハウス大賞」です。
どちらも温熱においてトップクラスの家が競い合うコンペです。
その中でもエコハウスアワード2016年の主催者コメントを一部抜粋します。
森みわさん「エントリー作品の燃費は当然ながら高水準であったため、最終的にはデザインの良し悪しで票の数が決まったかな、という印象がありますが…」
松尾和也さん「 時代の流れから急速に高断熱化、省エネ化が進んでくることは言うまでもありません。その結果、改めて差がついてくるのは設計力であり、デザインであるということも痛切に感じました。 」
2人とも温熱設計が極まった先の差別化はデザインで決まるとコメントされています。
実際の作品を見ても、受賞した家は味があります。
例えばこちらはエコハウスアワード2019年で優秀賞をとった家。
木々に囲まれた土地に煙突のある屋根、木製の外壁などが融和し、昔から存在するような風情のある雰囲気を生み出しているではありませんか。
もちろん、意匠面だけではなく、温熱面もパッシブハウスに申請するほど高性能です。
こちらはエコハウスアワード2017年に受賞をした家。
ウッドデッキと外構が調和し、落ち着く雰囲気を感じさせます。
夏に家族みんなで座って涼しむ、そんなひと時が想像できませんか
当然ですが、こちらの家もかなりの高性能です。
個人の好みもあるとは思いますが、両者とも普通の家とは一線を画しているなと。
また、もう1つの「エコハウス大賞」ですが、以下が評価されるポイントです。
見てわかるとおり、住宅性能はもちろんのこと、意匠性や生活など様々な点を考慮する必要があります。
そして審査員をみると温熱設計で有名な西方さんや松尾さんがいる一方で、意匠面で有名な伊礼さんがいらっしゃいます。
温熱設計だけではなく、意匠面も厳しくみられていることでしょう。
これらのことから、温熱設計と意匠性は高いレベルでも両立することが可能であること感じます。
現実的にはこのレベルで両立するとなるとそれなりにお金がかかるわけですが、ほどほどであってもそれ相応に両立することは可能ではないかと。
パッシブハウスレベルでも遊び心は入れられる
申請するためには年間冷暖房負荷について厳しい基準をクリアする必要があるパッシブハウス。
そんな家でも遊び心のあるデザインを入れることは可能です。
栗東のパッシブハウスはその1つだと思っています。
高性能な家は真四角な家のイメージが強いですが、この家は上から見るとこんな感じで尖っています。
真四角よりむしろ三角形のような形状をしていますね。
話によると中も実験的に色々遊んでいるようで、デザインはごちゃついているものの見ていて楽しいとか。
我が家からも車で行けそうな場所ですので、いつかは見学に行ってみたいですね
また、高性能な家=小さい窓のイメージも強いと思いますが、こちらの伊賀パッシブハウスは南面がほとんど窓になっています。
ここまで窓が大きいと解放感たっぷりでしょうねぇ。
日射に素直な設計をすれば、ここまで大きな窓も設置できるわけですね。
当然ですが、これらはパッシブハウスに申請しているほど高性能な住宅です。
何となくつまらないイメージが強い高性能な住宅ですが、正しく計算ができていれば解放感や遊び心を入れた設計も可能なようです。
終わりに
高性能は窓が小さい、つまらないという風潮がありますが、今回の記事を見てそうでもないんだなと感じていただけたら嬉しいです。
一般的にそう感じるのは、思うに性能面と意匠面のどちらにも長けた設計士がほとんどいないことが原因なんだと思います。
クロセ自身は性能を重視した家づくりをしましたが、意匠面も家づくりにおいては大事な1要素でだと思いますし、両立できるものだと思っています。
性能面が健康にいい影響を与える。
意匠面が豊かな暮らしを作る。
人によって意見は異なるかと思いますが、せっかくの家づくりです。
大金を払うわけですから、施主はどちらも可能な限り欲張りましょう。
その権利もあると思いますしね。
また、もしこのブログを読んでいる奇特な(失礼)実務者の方がいましたら、そんな施主のわがままを可能な限り叶えてあげてください。
コストに限りはありますが、コストをかけずともできることも多いと思います。
クロセ個人の予想ですが、いつの日かどちらにも長けていなければいろんな意味で家が売れない時代が来ると思っています。
その時に備えて、今のうちから両立できるようにしておくのも悪くないと思いませんか?
では。
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