先日、ノートパソコンがぶっ壊れたと言いましたが、あっという間に戻ってきました。
原因はよくわからないですが、SSDのデータが吹っ飛んだだけでした。
ハード的には全く故障していなかったようです。
クリーンインストールも問題なくできたといわれました。
自分の家では全くできなかったんですけどねぇ…
というわけで思った以上に早くノートPCが戻ってきました。
環境の再設定がめんどくさいけど、ブログはサーバ内にデータがありますので無問題。
では本編入ります。
過去の記事で、窓が断熱性に与える影響の大きさは何度も伝えてきたつもりです。
窓は壁に比べて圧倒的に断熱性が低く、それ故にグレードアップの恩恵は大きい…と。
では実際、窓の性能によって家全体の断熱性、つまりUA値がどの程度変わるか。
今回はそれを簡易的に計算してみたいなあと思います。
あくまで簡易的な計算のため正確な計算とは乖離があると思います。
ただ、簡易的でも窓の影響の大きさは何となく見えるかなと思います。
ただし、本記事はむやみやたらに窓を減らすことを推奨するものではありません。
あくまで参考程度に見ていただければと思います。
ちなみに結論から言うと、窓の影響はやはり結構大きいものでした。
窓の性能が大事といわれる所以が分かった気がします。
ではどうぞ。
今回の住宅モデルと計算方法
さて、計算するにあたって使用する住宅モデルを決めておきましょう。
今回は計算しやすいようにかなりシンプルな形状にします。
非常にシンプルな直方体形状です
建坪は15坪、延床は2階建てで30坪といったところですね。
断熱材は高性能グラスウール16kを使用するものとします。
高性能グラウウール16kの熱伝導率は0.038(W/mK)とします。
断熱材の厚みは天井が200mm、壁と床は100mmとします。
この建物に窓や扉を追加するとどうなるかというのを見ていきます。
計算式
次に計算方法です。
家全体の断熱性能はUA値で表されますが、以下の式で計算されます。
この時、各数値は以下の通りです。
U天井:天井の熱貫流率
U壁:壁の熱貫流率
U床:床の熱貫流率
わかりにくいと思いますが、要はUA値とは天井・壁(窓含む)・床の熱貫流率を平均したものです。
また、各部位の熱貫流率は以下の式で求められます。
断熱材の熱伝導率が0.038、断熱材の厚みが天井200mm、壁と床が100mmであることを考慮すると、各部位の熱貫流率は以下の通りになります。
U天井=0.038/0.2=0.19
U壁=0.038/0.1=0.38
U床=0.038/0.1=0.38
断熱材の厚みはmmからmに直す必要があります。
そのため、上の式では天井が0.2、それ以外が0.1となっています。
これを前提に、様々なモデルを考えてみましょう。
計算結果
モデル①:窓なし
最初は窓がない場合の断熱性能です。
現実にはあり得ない建物ですね。
(;´∀`)
最初に示した式に当てはめると以下のような式になります。
これを計算すると、このモデルのUA値は約0.34になります。
この数値を見て皆さんはどう思いますか?
私は、断熱材厚みの割にはかなりいい値だなと感じました。
ただ、正確に計算する場合は柱も考慮します。
柱は断熱材より断熱性能が低いため、実際はもう少し値が悪くなります。
では次に窓を追加した場合のモデルを考えていきましょう。
モデル②:掃き出し窓を追加
次に以下のようなモデルで考えてみます。
掃き出し窓として2.5m×2mを2つ追加してみました。
この時のUA値を計算してみましょうか。
まず、窓の熱貫流率を2.3程度で考えてみましょう。
少し性能が低いアルミ樹脂複合サッシのペアガラス程度です。
YKKAPのエピソードNEO、LIXILのサーモスII-Hぐらいの性能ですね。
この熱貫流率を先ほどの式に当てはめると、UA値は約0.42になります。
なんと掃き出し窓を2つつけるだけで家全体の断熱性能が20%も下がりました。
ではもし窓の熱貫流率が1.5程度であればどうでしょうか?
実際の製品だとYKKAPのAPW330やLIXILのサーモスXがこれぐらいです。
これを先ほどの式に当てはめると、UA値は0.39です。
先ほどより改善しましたが、まだ0.4近いですね。
では最後に、窓の熱貫流率を0.9程度にした場合はどうなるか。
実際の製品ですとYKKAPのAPW430、LIXILのエルスターXに該当します。
この場合のUA値は0.36程度です。
まとめると以下のようになります。
窓の熱貫流率が2.3の時、UA値は約0.42
窓の熱貫流率が1.5の時、UA値は約0.39
窓の熱貫流率が0.9の時、UA値は約0.36
掃き出し窓がいかに断熱性に影響を与えるかっていうのが感じられたかと思います。
モデル③:引き違い窓、縦すべり窓、玄関扉を追加
さらに開口部を追加してみましょう。
引き違い窓、縦すべり、玄関扉などを追加してみました。
面倒なのですべて熱貫流率は同じという前提です。
窓の熱貫流率ごとのUA値を求めてみます。
窓の熱貫流率が2.3の時、UA値は約0.47
窓の熱貫流率が1.5の時、UA値は約0.42
窓の熱貫流率が0.9の時、UA値は約0.38
高性能な窓であればまだ0.4以下ですが、窓の熱貫流率が2.3の場合は6地域だとHEAT20のG2からG1に格下げされるほどUA値が悪化しました。
計算結果の考察
いくつかのモデルで断熱性能を計算してみましたが、とにかく窓の影響が大きいと感じました。
特に掃き出し窓程の大きさだと顕著ですね。
デザイン重視のメーカだと、アルミ樹脂複合の大開口窓をつけることも少なくないですが、家の断熱性能はかなり下がっているようです。
断熱性能を重視する人は、大開口な窓の使い方は十分注意したほうがいいと思います。
後述しますが、使うならやっぱり南側がおすすめでしょう。
逆に縦すべり窓程度であれば与える影響はそこまで大きくないと感じました。
まあ数にもよりますが…
オール樹脂のペアガラスぐらいでもそんなに悪くないかもしれません。
いずれにしろ、窓の断熱性を高めることの重要性を再認識できたような気がします。
やっぱり窓はないほうがいいのか?
ここまでの話を聞くと、窓を無くしたほうがいいのか?とお思いの方もいるでしょう。
結論ですが、断熱性が低下しても目的がある窓は設けたほうがいいと思います。
まず窓をつけることで一番大きいのは日射取得ができることです。
熱の出入りを防ぎながら、日射の熱を取り込めるのは窓の特権ですね。
南側に性能が高い窓を設けることで、逃げるよりも多くの熱を取り込めることでしょう。
大開口の窓なら、熱の観点ではかなりプラスになるようです。
ただし、夏場に日射を遮蔽する方法も用意しておきたいですね。
また、窓がなければ昼間でも部屋が暗くて照明が必要になります。
まあ別に照明の電気代なんて大したことないので構わないって人もいるとは思いますが…
それでも昼間は日の光で明るいほうが何となく気分がいいのではないでしょうか?
あとは窓をうまく使うことで視線に広がりを持たせることができますね。
通行人の視線が気になるような場所は避けたほうがいいと思いますが、例えば部屋や廊下の奥川に設けることで、視線の抜けができて広がりを感じるようになります
一応通風にも使えますが、不規則な上に費用対効果が低い通風のために窓を設けるのは推奨しません。
逆に明確な役割がない窓については、前述の通り断熱性を大きく下げるだけになってしまいます。
窓はコストも高いですし、設置には慎重になりたいですね。
終わりに
今回は、窓が家全体の断熱性能に与える影響を試算してみました。
さらっと計算してみましたが、大開口で低性能な窓を使うことは結構リスクあるということを数字で感じられて面白かったです。
実際には柱の影響があるので正確ではないですけどね。
窓自体は大事な役割を持っているわけですが、やはり無駄な設置は避けたいですね。
そこに設置している窓に明確な役割はあるのか?
それを意識できれば自然と無駄な窓は減ると思います。
あと、皆さんも興味がわいたらぜひ手計算してみてください。
割と簡単ですし、やってみると面白いですよ?
では。
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