突然ですが、先週くらいから育児休業に入りました。
といっても、子供が新しく産まれたわけではありません。
私は子供が産まれた当時、仕事の事情もあって育児休業に入らず働いておりましたが、何となくその時に育児を嫁中心にさせてしまったのが心残りでした。
で、いまさらではあるものの仕事に少し余裕があったため、すでに子供は1歳を越えていましたが育休を取らせていただきました。
おかげで子供と触れ合う時間が増えましたし、嫁と一緒に子育てや家事ができたので、育休を取ってよかったなと思っています。
ちなみに、育休で国から補助が出るのは特殊な事情がないかぎり1歳までです。
取るなら早めがおすすめです。
では本編入ります。
今回はエアコンに関しての話です。
高気密高断熱の家ではエアコンの効きが非常に良いため、エアコン1台で全館を冷暖房をするなんて言う話を最近よく聞きますね。
私自身も、可能な限り1台のエアコンで済ませています。
そしてUA値0.4、C値0.26の家でエアコンを使っているうちに、1つ強く感じることがあります。
それはタイトルにもある通り、高気密高断熱の家と個室エアコンの相性の悪さです。
今回はそのことについて語ってみようかなと思います。
なぜ高気密高断熱の家と個室エアコンの相性が悪いのか?
早速ですが、まず結論から入りましょう。
高気密高断熱の家と個室エアコンの相性が悪い理由は、エアコンの性能が家の性能に対して過剰だからです。
すでに言及されている方も多いですが、エアコンの〇畳用といった表記は、全て無断熱の住宅を基準にした表記です。
これは、いまだに無断熱の家に住んでいる人がおり、そういった人からのクレームを防止するためにそういった表記になっていると聞いたことがあります。
お店によっては、部屋のサイズを言ってしまうと売ってくれない場合もあるようです。
そんなわけで、現代の断熱材が入っている家に対しては、どうしてもエアコンの性能が過剰になってしまいます。
ちなみにどれくらい過剰かですが、自分の家のQ値が分かっていればすぐにわかります。
無断熱の家は、Q値で換算するとおおよそ10程度だそうです。
対してクロセの家のQ値はおおよそ1.5程度です。
つまり、無断熱の家に対してクロセの家は10/1.5=6.7倍ほど断熱性能が高く、エアコンもそれ相応に広い畳数で使えるようになります。
例えば、6畳用のエアコンであれば、クロセの家では6×6.7≒40畳の広さで使うことが適当であることが分かります。
ちなみに断熱等級4(6地域)でも無断熱の家よりも4倍ほど断熱性能が高いので、20畳程度のリビングに設置するエアコンは6畳用で十分なことが分かります。
少し話がそれましたが、エアコンの〇畳用という表記は無断熱住宅に対する表記であり、高気密高断熱の家の個室に設置すると冷えすぎかつ温まりすぎてしまうわけですね。
そして残念ながら、今の日本には高気密高断熱の個室に適したエアコンというものが存在しません。
この問題を解決するには、空調の仕方を工夫する必要があります。
高気密高断熱の家では全館空調をベースに考えたい
あくまで個人的な考え方ですが、高気密高断熱の家に個室エアコンは能力過剰であるため、全館を空調するように家の間取りを考えたほうがいいとクロセは考えています。
全館空調といっても、大手メーカが採用しているような各所にダクトを通すような業務用のエアコンである必要はありません。
性能自体は申し分ないし快適だとは思いますが、非常にお金がかかります。
逆に言えば、お金に余裕があるなら採用することで空調に悩むことはなくなると思います。
また、技術のある工務店では床下エアコンと屋根裏エアコンを採用する例もありますが、知識や経験なしでやっても失敗する可能性が高いです。
床下エアコンはまだ難易度が低いようですが、屋根裏エアコンの成功例は一握りとか。
ではどうすればいいかというと、一般的な壁かけエアコンで全館空調をすればいいのです。
クロセの体験談ではありますが、間取りを工夫すれば少ないエアコンである程度全館を冷暖房できます。
暖房についてはリビング階段を採用し、1Fに畳数大き目のエアコン1台を部屋全体に空気がいきわたるように設置すれば、問題なく全館を暖房できると思います。
1Fと2Fのつながりがない場合は、1Fとは別に2Fの廊下にでも設置すればいいと思います。
問題は冷房ですね。
暖房の空気は軽いので拡散しやすいのに対し、冷房の空気は重いためなかなかいきわたりにくいようです。
全館冷房については以前にも紹介したフエッピーさんの以下記事が大変参考になります。
クロセ家の場合は今のところ2.5Fにある6畳用のエアコン1台で冷房をしています。
正直、エアコンの間取りはあまり真剣に考えなかったのですが、現状は割とそれで家全体を冷房できています。
ただし、最高気温が30℃を越え始めると、容量の問題で6畳用エアコン1台では厳しい印象です。
断熱性能がもっと高い家であればそれでも問題なかったかもしれませんね。
全館冷暖房のメリット・デメリット
では次に全館冷暖房をするメリット・デメリットを考えましょう。
メリット
高気密高断熱の家において、全館冷暖房をするメリットは多いです。
項目ごとにお話ししてみます。
エアコンが少なくて済む
暖房用に1Fに1台、冷房用に2Fに一台とすることで、うまくいけば2台で済みます。
エアコンが少ないと購入・買い替えのコストは安く済みますし、掃除台数も少なくて楽です。
また、エアコンを設置する際には室外機につなげる穴を開ける必要がありますが、その数も少なくて済むため気密性を損なわずに済みます。
電気代が安く済む
前述のとおり、高気密高断熱の家に個室のエアコンは過剰ですので、稼働させても冷えすぎ・温まりすぎてしまいますし、サーモオフで何度も電源のON/OFFを繰り返すことになります。
エアコンは立ち上がり時に一番消費電力が高くなるため、上記のような動作は無駄に電力を消費しています。
70%ぐらいの出力で動作させ続けると理想的だそうです。
また、エアコンは空調以外にも、動作するための電力を消費しています。
ということは、エアコンの台数が増えるほど、空調以外に消費する電力が多くなるため、無駄に電気代を消費することになります。
イメージ的には以下のような感じです。
同じ温度にするために必要な電力が一緒でも、それ以外で消費する電力が増えるため、可能な限り少ない台数で動作させるべきでしょう。
以上のことから、部屋の広さに対して多少余裕があるくらいのエアコンを選定し、1~2台程度で連続動作させることで消費電力を抑えて、電気代を下げることができます。
ちなみに上記の理由から、真冬や真夏の空調は24時間連続稼働が基本となります。
エアコンの風を感じにくくなる
エアコンの風は受け続けていると乾燥を感じ不快です。
また、人によっては過度に寒く感じたり熱く感じる人もいるでしょう。
特に冷房は冷え性の人にとってはつらいようです。
(わたしの嫁がそうでした。)
しかし、部屋にエアコンを設置せず間接的に冷暖房をすることで風を直接受けなくなるため、そういった不快感を避けることができます。
ただ、いずれにしてもリビングにはエアコンを設置することになると思いますので、リビングのエアコンは長く座る場所を避けるように吹き出し口の方向を調整しましょう。
家全体の除湿ができる
これは全館冷房をした場合のメリットです。
エアコンの冷房機能はご存じの方もいると思いますが、冷房と同時に除湿も一緒にしております。
そうしないと、気温が下がるごとに相対湿度が100%を越えて部屋中結露だらけになります。
そして、全館を冷房することで、結果としては除湿した空気が家全体にいきわたります。
エアコンは家の中の空気を繰り返し温度を下げながら除湿をするため、家全体の湿度が下がります。
家全体を除湿することで夏場は快適に生活できることはもちろん、ダニやカビ、壁内結露の発生などを抑えられます。
室内干しの洗濯物も早く乾くようになりますし、なにより家全体の劣化が抑えられます。
フエッピーさんも記事内で語っていますが、全館冷房で大事なのは家全体の室温を下げることではなく、除湿をすることです。
また、全館冷房は完ぺきでなくてもいいのです。
エアコンが1台で足りないなら2台使えばいいですし、他にもサーキュレータや壁などを使って、何となく家全体が除湿されているという雰囲気でいいのです。
デメリット
では次に全館冷暖房をする際のデメリットも挙げておきます。
失敗する可能性がある
前述のとおり、全館暖房は多少適当でも成功しやすいですが、全館冷房は空気が重いため、家全体に空気がいきわたりにくいです。
成功するためにはとにかく間取りが大事です。
ですから、間取りの計画時にはエアコンの配置も入念に考えましょう。
他にもサーキュレータや壁を使って、風がうまくいきわたるように調整するのも効果があります。
すでに家を建ててしまった人も、上記の方法で調整可能ですので、色々実験をしてみてください。
ちなみにサーキュレータはDCモータ式のほうが省電力です。
ただし、購入額は高いのでどちらがお得かは計算してみてください。
実験でちょっと使うだけならACモータ式でもいいと思います。
また、失敗した時も想定して、各部屋にエアコン用の電源をあらかじめ用意しておけば、最悪失敗しても個室エアコンで対応可能です。
空調のため個室の扉を開ける必要がある
壁かけエアコンで全館空調をする場合、部屋のドアを開けていないと空気がうまくいきわたりません。
一応、家の扉には換気用の隙間が空いていますが、その隙間では空調をするのに不十分です。
上記のため、普通の壁かけエアコンで空調をするためには、基本的に各部屋の扉を開けておく必要があります。
ただし、エアパス用ファンというものを利用することで、扉を閉めた状態でも空調した空気を通すことができます。
(エアパス用ファンというのは三菱電機の商品名らしいので、他社ではまた別の名前で取り扱っていると思います。)
こちらの商品は壁の中に埋め込むファンで、壁の向こうから空気を取り込むことができます。
これを各部屋の扉の上に設置することで、扉を閉めた状態でも空調することが可能です。
ただし、エアパス用ファンは換気計画の妨げになる可能性もあるので、自己責任で採用し、設計士と十分に検討をするようにしてください。
ちなみに本製品についてもフエッピーさんが以下の記事で解説しているので、採用を考えている人は一読しておくといいでしょう。
エアパス用ファンを採用しない場合は、扉に片引き戸を採用すると隙間を開けておきやすいでしょう。
メリット・デメリットまとめ
全館空調のメリットとデメリットをまとめておきます。
メリット
・エアコンの数が少なくてすむ
・電気代が安く済む
・エアコンの風を感じにくくなる
・家全体の除湿ができる(全館冷房)
デメリット
・失敗する可能性がある
・空調のため個室の扉を開ける必要がある
全館冷暖房は失敗する可能性がありますが、各部屋にコンセントを用意しておけば最悪個室エアコンを採用できますし、実質は扉を開ける必要があるのが唯一のデメリットでしょうか。
それも大手メーカのような全館空調であれば問題ありませんが。
高気密高断熱の家に住む予定のある人は、とりあえずこれをベースにエアコン配置を考えたほうがいいと思います。
家の性能はどの程度必要か?
私は実務者ではないためズバリこれっということは言えませんが、いろいろなブログや動画を拝見するとUA値にして0.4以下、Q値で1.4以下ぐらいが24時間連続稼働の全館空調をしても問題ない性能かなと思っています。
当然ですが、C値も必要で1.0といったところでしょうか。
クロセの家はUA値0.4、Q値1.5、C値0.26ですので気密性は問題ないですが、断熱面では割とギリギリなラインですね。
一条工務店レベルの家であれば余裕ですね。
この辺りは、いろいろな人のブログを拝見いただき、各自で判断していただきたいなと思います。
個室エアコンは不要か
全くいらないかといわれるとそうではなかったりします。
普段は問題なくても、40℃近くまで気温が上昇するような日だと全館空調用のエアコンだけでは十分に冷房しきれない可能性があります。
暖房に関しても同様で、気温が-10℃になるような地域では全館空調用のエアコンだけでは暖房しきれない場合もあるかもしれません。
これらは実際に住んでみないとわかりませんが、いつでもエアコンが設置できるようにエアコン用のコンセントは用意しておくべきでしょう。
終わりに
今回はクロセの体験談をもとに、高気密高断熱の家におけるエアコンについてのお話をしてみました。
実際に高気密高断熱の家に住んでいる人は、個室エアコンで同じような経験をされているのではないでしょうか。
全館空調は難しいと感じるでしょうが、普通の壁かけエアコンである程度は達成できると思いますし、失敗すること自体にデメリットはありません。
個室エアコンの問題も解決できますし、それ以外のメリットもありますので、ぜひ挑戦してみてください。
では。
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