クロセ家の温熱環境をシミュレーションしてみた③

高気密・高断熱
スポンサーリンク

前回、前々回に引き続き、今回もクロセ家をシミュレーションしていただいた結果をもとに、いろいろと考察してみたいと思います。

今回のシミュレーションもやまのすみか株式会社代表である田上さん(@yamanosumika)に実施いただきました。

では早速、今回のシミュレーションの内容と結果から見ていきましょう。

スポンサーリンク

室温・動的熱付加計算の結果

以下が「室温・動的熱付加計算」の結果です。

今回は生活における排熱や、冷暖房、外気温などをもとに室温の変化をシミュレーションしていただきました。

そして、今回は以下の条件でも併せてシミュレーションしていただいています。

1つはネオマフォーム50mmを付加断熱した結果。

そしてもう1つは屋根断熱を200mmから300mmにしたもの。

これ以外にもいろいろなデータがありますので、それを自分なりに解釈していこうと思います。

熱負荷の条件

間取り

今回は以下の間取りでシミュレーションしていただいております。

暖房計画

LDKを7時~21時まで20℃に暖房し続けるようなスケジュールです。
また、子供部屋は6時と20時~21時、主寝室は6時と22時~23時にも暖房しています。
寝る前と寝起きに温めているイメージですね。

冷房計画

LDKを7時~21時まで27℃に冷房し続けるようなスケジュールです。
また、個室は寝ている間28℃に冷房しています。

生活条件

こちらでは家族の構成や生活スケジュールにも条件を付けています。

人数、照明、家電によって生活による排熱量を設定しています。
ここでは換気システムが熱交換型で計算されています。

窓の付属物

こちらでは各窓につけているカーテンやシャッターなどの条件を付けています。

今回は全て窓だけの条件になっています。

気象データ

京都の気象データですが、夏は35℃以上、冬は0℃付近と温度差が激しい気象です。
特に夏場は盆地ということもあり、湿気も伴って外を歩くのがしんどいです。(´∀`;)

今回のシミュレーションは、これらの数字を使って行われています。

年間室温グラフ

以下は1年間の室温と外気温の温度を示したものです。

グラフの背景がオレンジ色の箇所は暖房を水色の箇所は冷房をしている時期です。
また、グラフのオレンジ色の波線は室温水色の波線は外気温を示しています。
外気温に比べて、室温は温度の幅や変化が小さいことがわかりますね。

ちなみにシミュレーション上は冷暖房の時間が決まっているので、室温が冬は15℃、夏は30℃近い日もありますが、実際は必要に応じて24時間冷暖房をするのでもっと室温の変化は小さいです。

さて、同じようなグラフをネオマフォーム50mm付加断熱した場合と、屋根断熱を200mm⇒300mmに増やした時のデータも取っていただいたので比較してみましょう。

暖房期

まずは暖房期の室温を比較してみましょう。

各グラフを横に並べ、温度差が見やすいように黒の横線で補助線を引きました。
暖房期、つまり冬ということで注目したいのは室温の最低温度です。

クロセの家はシミュレーションにおいて室温が15℃を下回っていますが、ネオマフォームを追加することで、15℃を切ることがありません。
室温の幅も全体的に小さくなっています。

また、屋根断熱を300mmに増やしたほうも、ネオマフォームを付加したほどではありませんが、室温の最低温度がクロセの家よりわずかに底上げされています。
本当にわずかのため、わかりにくいかもしれません。

多くの実務者は、屋根断熱を増やすことが快適性に大きく影響すると述べていますが、シミュレーション上ではそこまで目に見えた変化はありませんでした。

冷房期

次に冷房期の比較です。

冷房期、つまり真夏ということで今度は室温の最高温度を比較してみましょう。

ネオマフォームを追加した場合、やはりクロセの家と比較して最高温度が下がっているのがわかると思います。

屋根断熱を追加した場合も、かなり分かり辛いですが、わずかに最高温度が下がっています。
個人的には屋根からの日射による熱を抑えることができるのでもう少し効果が出ると思ったのですが、思ったほどではありませんでした。

1日の室温グラフ

先ほどまでは1年間の室温を比較してきましたが、次は1日の室温変化を比較してみましょう。
各部屋のシミュレーションをしていただきましたが、一番長居するLDKを見てみます。

暖房期

以下は1月12日という真冬の1日における室温変化をシミュレーションしたものです。

クロセの家とネオマフォーム付加した時の比較

紫色の点線と実線が描かれていますが、実線はクロセの家、点線はネオマフォームを付加した場合の温度変化を示しています。
水色の実線は外気温を示しています。
そして背景がオレンジ色の箇所が暖房をしている時間帯です。

グラフを見ると暖房している時間帯はどちらも20℃で室温をキープしていますが、暖房を切っている時間帯は室温が少しずつ下がっています。
実線(クロセの家)と比較して点線(ネオマフォーム付加)のほうが温度の下がり方が緩やかなことがわかります。
付加断熱の効果が出ていることがわかりますね。

ちなみに屋根断熱300mmとの比較結果も確認しましたが、以下の通りほとんど違いがでませんでした。(実践と点線が重なっていて違いが分からない)

クロセの家と屋根断熱を200mm⇒300mmにした時の比較

どうも屋根断熱を増やすだけでは室温に影響しにくいようです。
このあたりの考察は後述します。

冷房期

以下は8月7日という真夏の1日における室温変化をシミュレーションしたものです。

クロセの家とネオマフォーム付加した時の比較

先ほどと同様に実線はクロセの家点線はネオマフォームを付加した場合の温度変化を示しています。

暖房期に比べると、2つの条件による差がほとんど出ていません。
恐らくですが、無冷房時と冷房時の温度差が小さいことが原因かなと思います。

冬は室温を15℃から20℃に温めてました。
この冷房期(夏)は室温を29℃程度から27℃と2℃しか差がありません。
もう少し温度差があれば、温度遷移に差が出たかもしれません。

年間冷暖房費

以下はクロセの家とネオマフォーム付加した場合の冷暖房費を比較したグラフです。

クロセの家とネオマフォーム付加した時の比較

色付きの棒グラフがクロセの家灰色の棒グラフがネオマフォーム付加の家です。
冬はネオマフォームを付加した家のほうが暖房費が安いですが夏はクロセの家のほうが冷房費が安くなっています。

この通りですとネオマフォーム付加で年間の冷暖房費は3000円程度しか安くなりません。

ネオマフォームを付加することで断熱性が上がり、熱が逃げにくくなったので冬場の暖房費が下がることはすぐに理解できると思います。

では冷房費がネオマフォームを付加したほうが上がるのはなぜでしょうか?
普通に考えればエアコンが効きやすくなるため安くなりそうですが。
考えられるのは窓から入る日射熱や、生活で発生する熱が逃げにくくなるせいでしょう。

生活で発生する熱を減らすのは難しいですが、窓から入る日射熱はすだれやよしずを使うことで大幅に緩和できるので、これらを活用することでもう少し冷房費は下がると思います。

以下のグラフで屋根断熱300mmとの比較結果も確認しましたが、室温同様に屋根断熱を増やすことによる大きな差はありません。


クロセの家と屋根断熱を200mm⇒300mmにした時の比較

色付きの棒グラフがクロセの家灰色の棒グラフが屋根断熱300mmの家です。
年間冷暖房費の差はわずかに200円程度。
室温だけでなく、冷暖房でも差がほとんど出ないようです。

年間冷暖房負荷

暖房期

以下は暖房期におけるエアコンの負荷を示したものです。
設計となっているのがクロセの家較となっているのがネオマフォーム付加の家です。

 

まずこちらのグラフを見てみましょう。

クロセの家と比較して、ネオマフォーム付加の家のほうが逃げる熱(損失)が小さいので、エアコン暖房の負荷が小さくなっていることがわかります。

以下の図は各部位の取得している熱と損失している熱の詳細です。

設計がクロセの家、比較がネオマフォーム付加の家です。

上の数値を見ると、ネオマフォームを付加した家は外壁から取得する日射熱が小さくなっていますが、それ以上に外壁から逃げる熱量が小さくなっています。
外壁から熱が逃げにくい分、屋根・窓・基礎・換気から逃げる熱量は微増していますが、トータルではネオマフォームを付加した場合のほうが逃げる熱量が小さくなっています。

そしてネオマフォーム付加のおかげでエアコンの暖房負荷が40%以上低減されています。

冷房期

次に冷房期のエアコンの負荷です。

 

まずこちらのグラフを見てみましょう。

ネオマフォームを付加することで、壁から入る熱量が小さくなっていますが、壁から逃げる熱の量も小さくなるため、トータルとしてはエアコン冷房の負荷が大きくなっています。

以下の図は各部位の取得している熱と損失している熱の詳細です。

暖房期と同様に設計がクロセの家比較がネオマフォーム付加の家です。

ネオマフォームの付加によって外壁から入る日射熱の量が減っています。
しかしながら外壁から逃げる熱も大幅にカットしてしまっています。
これによって、気温が低い時間に熱が逃げにくくなるため、トータルではエアコン冷房の負荷が増えてしまっています。

先ほどの暖房期では、ネオマフォーム付加によって600kWhほど暖房負荷が減りました。
一方で冷房期では、ネオマフォームの付加によって200kWhほど冷房負荷が増えています。

総合的に見ればエアコンの負荷が減っているようです。

考察

今回もシミュレーションの結果をもとに色々考えてみました。

屋根断熱を増やした効果が小さい理由

今回はクロセの家と併せて、ネオマフォームの付加屋根断熱を200mmから300mmに増やした条件でシミュレーションをしてもらいました。

しかし、屋根断熱を増やした効果は以下の通り室温も冷暖房費もほとんど見られませんでした。

一方で、温熱に関して詳しい実務者や著書においては、屋根断熱は窓の次に重視すべきであると語られていることが多いです。

熱は基本的に左右より上下に動きやすいことから、屋根断熱を重視すべきという意見も理論としてしっくりきます。
後は夏場の日射に対しても効果が大きいとも言われますね。

ではその効果がなぜでなかったのか?
恐らくですが、屋根と外壁の断熱材のバランスが大事なのかと思っています。

屋根断熱が大事というのはもちろんですが、極端に屋根断熱を厚くしても、結局外壁から多く熱が逃げていくのではないかと思います。

それがわかるのが以下のシミュレーション結果です。

このグラフの設計がクロセの家、比較が屋根断熱を200mm⇒300mmに増やした家です。

注目したいのが右下の熱貫流です。
屋根断熱を増やした分、比較(屋根断熱300mm)の屋根からの熱損失が120kWhほど減っています。
しかし、窓と外壁の熱損失が合わせて50kWh増えています。

つまり、結局バランスよく断熱を強化しないと、弱い場所からの熱損失が大きくなってしまうわけですね。

外壁にネオマフォームを付加した場合の効果が大きいのも、クロセの家の外壁の断熱がそれだけ屋根断熱と比較して弱いということだと思っています。

また、室温には表れないものの、屋根断熱の厚みを増すことで、夏における屋根からの輻射による熱を大幅にカットできるのかなと思っています。

結論として、空気の動きや日射の観点から屋根断熱は重要であるようですが、外壁とのバランスが何より大事ということだと思っています。

田上さんとの雑談

今回シミュレーションをしていただいた田上さんと結果を見ながら雑談していましたので、適当に列挙してみようと思います。

 ・屋根断熱の増加が思った以上にコスパが悪かった。
 ・ネオマフォーム付加はすごく効くので壁のメンテ時に付加してもいい。
 ・今回の結果から高断熱化を光熱費で評価するのは適切ではないかな。
 ・快適性を示すにはどういう指標がいいのか。
 ・より断熱性の良さを理解してもらうためには何がいいのか。
   ⇒物理的に体験させてみる?
 ・クロセ家は優秀でコスパも良い←お世辞だとしても超うれしい。
 ・冬の床とトイレはちょっと寒そう冷たそう←大正解
 ・厳密に計算すると、UA値はもう少しさがるかも?

ざっとこんな感じですね。

僕の中で一番の課題は「より断熱性の良さを理解してもらうためには何がいいのか」というところですね。
施主ブログをやっている以上、ここを理解してもらうのがクロセがしたいことではあります。

光熱費のコスパでいえば、住む年数で変わるもののおおよそHEAT20のG1 or G2くらいがちょうどいいといわれています。
しかし、それ以上の断熱性能が無駄というわけではありません。

特に快適性に効果があるわけですが、そこの良さを知ってもらうためにはどうしたらいいのか?
もし皆さんの中でアイデアがあればお聞きしたいです。

終わりに

今回でシミュレーションのお話も終了です。

久々に書くのが楽しい記事ということで、3回にわたってめちゃくちゃ長文の読みにくい記事になってしまいました。(´∀`;)

多分多くの人にとっては全くもってどうでもいい話であり、それよりもシンプルに高気密高断熱の良さを教えてくれっていう人がほとんどだと思います。

ただ、一部の好事家に刺さってくれたり、これがきっかけで高気密高断熱に興味をもってくれたらなあなんて思っています。

では。

クロセのやる気スイッチです。
押していただけるとクロセのモチベーションがアップします。

にほんブログ村 住まいブログ 高断熱・高気密住宅へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

高気密・高断熱
スポンサーリンク
シェアする
クロセをフォローする
ゲーム大好きオタクがアイ工務店で高気密・高断熱の家を目指す

コメント

タイトルとURLをコピーしました